ミレニアル世代は、数十年前にその親や祖父母を魅了したような外出用のきらきらした飾りを買おうとしないのだ。
「カジュアルフライデー」以降の世代はそうだ。ストリートファッション好きの若者にとっては、クラシックな宝飾品は古臭く退屈で、特別な場でのみ身に着ける物だ。ミレニアルはそれ以前の世代に比べて出勤・外出時に着飾らない傾向があるため、宝飾店はそれに合わせてマーケティング方法を変えなくてはならない。かつて高級宝飾店は、若い消費者に結婚式や記念日、贈り物用の宝飾品を売ろうとした。今では、特別な機会を待たずに身に着ける宝飾品を自分のために買うというアイデアを売り込んでいる。
ミレニアル世代には、高い宝飾品ではなくハイテク製品や休暇のためにぜいたくを控えている人が多く、自由になるお金の大半を旅行に使っている人も多い。いざミレニアルが宝飾品を買う時には、グッチなどはやりのブランドから厳選することが多いが、アナ・シェフィールド、ビンバン、キャットバード、ReBeといった小さなブランドや新しいブランドの凝った製品、オンライン市場エッツィで売られている手作り品も好きなようだ。
ミレニアル世代とそれ以前の世代では宝飾品の使い方が違う。市場調査会社ミンテルのダイアナ・スミス氏によると、ミレニアル世代は高価な物とそうでない物を合わせ、個人のスタイルを表現するために、自分だけの宝飾品を作ることやカスタマイズすることが好きだ。
一方、デビアスの「フォーエバーマーク」ブランドが5月にオープンした上海の店舗には、高額商品を購入した客用のVIPラウンジを設けるなど、ナイトクラブの趣向が加えられている。店内の宝飾品は「中国のミレニアル世代4億2000万人にアピールするためにデザイン」されているという。イタリアの老舗ブルガリは若い消費者を念頭に店舗のデザインや販売方法を改めた。ローマの旗艦店のそばに建てた店舗では、客がデザインブックを参考にしたり、同店舗の限定商品を買ったりできる。ジャン・クリストフ・ババン最高経営責任者(CEO)はこの店舗について、「ブルガリの顧客全てのためにデザインされたが、特にミレニアル世代の顧客を意識した」と話している。
米若者だけでなく、この流れは世界中の若者のムーヴメントだ。今後は、D to Cの中にデジタルラグジュアリ―ブランドが出てきてもおかしくない。
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